自由の翼

                 轟 俊


第四指の薬指をいっぱいに 伸ばし

薄い皮膜を張って 大空を グライダーのように飛ぶ

ある時は 火山の噴煙を迂回し

大渓谷を越えて 大瀑布の飛沫のシャワーを浴びた


ある時は アロサウルスの群れが 

巨大なブラキオサウルスに襲い掛かる格闘のシーンを

眼下におさめ 餌食となった屍を

鋭利な牙の生えた尖った嘴で啄んだ


ある時は 翼竜たちが

魚や小動物を鷲掴みにして

雛たちのいる巣に運び

小さな嘴に分け与えた


ある時は 大きな獲物を見つけ

不気味な雄叫びを上げながら

中生代の大空をその大編隊で埋めた


白亜紀末期に 翼竜たちが 大隕石で全滅すると

羽毛の生えた鳥たちが小さな翼を広げて

大空を我がものとした

ダ・ヴィンチは 鳥たちの揚力のロマンを

人類に授けた

 

今日 僕は息子とニュートンの庭のリンゴの木の下を通って

市立博物館の『恐竜展』を訪れた

息子は 本物の始祖鳥の羽毛を見たり 

500円で恐竜の卵殻を買って

得意がっていた


太古の制空権を握った 弱肉強食世界の象徴

巨大な翼竜の残した異形に

息子の目は輝いていた


息子がこんなに化石に興味を持ってくれるとは

思いがけなく僕は

太古のメッセージに

戦争ゲームとは違う

自由へのロマンの輝きを見つけた


どこまでも自由に平和にあってほしい

僕たちには永遠のロマンがある―


潮流詩派より(改稿)





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